Developers.IO Cafe の進化と深圳のイノベーション
タケダノです。
Developers.IO Cafeの量産工房をやっています。
ドリルで穴開けをやることもあります。
写真はウォークスルーで使っている重量センサーベースです。
実は2月に『深圳の産業集積とハードウェアのマス・イノベーション』と題してニコ技深圳コミュニティの高須正和@tksさんの講義に触れる機会を頂いていたのですが、遅まきながら、ここでエッセンスを紹介したいと思います。
はじめに
高須正和@tksさんは、現在、(株)スイッチサイエンス社でグローバルビジネスディベロップメントとして、深圳を拠点に、深圳だけでなく世界各地のパートナーを開拓し、先進的な開発ツールを輸出入・共同開発、投資を行う仕事をされています。
また一方で、ニコニコ技術部深圳コミュニティの主催もされています。
なお、本稿の大部分は高須さんの資料やお話された内容を記載していますが、ご本人より「是非拡散してください」との許諾を得て紹介させていただきます。本当に遅くなってしまってすみません。
最新の深圳事情
まずはYouTube動画リンクから2つほど紹介します。
- 深圳ではビルの壁面が巨大なディスプレイになっており、さらに同期して都市まるごとで映像を映し出す
深圳の改革開放40周年記念ライト
- さらにドローンによって空間に立体的な絵が映し出される
深圳ドローンによる3Dライティング
マス・イノベーション
マス・イノベーションは大衆が起こす新しい試みであり、中国でも「大衆創業 万衆創新」というキャッチフレーズの下で、「売り出してみないと成功・失敗の判断ができず、みんなが使うようになったことによって社会がアップデートされる」類いの取り組みをたくさん起こすためのものとして取り扱われています。
ここで注意したいのは対比的に捉えられるのが、選択と集中によって行われるエリートのイノベーションと呼ばれるもので、例えば、薬事など簡単に市場に出せないイノベーションは北京を中心に別の取り組みが行われているということです。社会に出て、皆に評価されてはじめて結果が現れる点でも「マス」と言えるのが特徴です。
さらに恐るべきは、その急激な変化なのですが、深圳はわずか40年ほどで人口が30万人から1千万人まで膨れ上がっており、これほどまでの変化があった都市は歴史的にもほとんどないそうです。
1千万人と言えば、東京都同じような数字なのですが、深圳の人口構成と比べてみるとその差がさらに歴然とします。
深圳では高齢者率が2% 20代が大半、30代と合計して65%を占めるという状況です。
これは、深圳に工場が集約していることに起因しており、地方の若者が働き先として流入してくるが、年を取ってくると地元に帰るために流出するためです。
工場が社宅や食事を用意するので、居住環境を気にすることなく安心して生活し、給与を得て、お金が貯まれば戻れば良いだけなのです。
地下鉄の新路線も毎年3本ずつ開通するそうです。
結果として、深圳の市政府は十分に税収を得るのですが、その税を使う先として、20歳以下も少ない、高齢者も少ないという不思議な状況が生まれ、冒頭に紹介したような技術で街をアピールすることにお金を使い始めるということが生じるのです。
つまり、納税者だけの街の誕生です。
当然ながら、税金に関しては別の都市から不満は出ているようです。
Developers.IO Cafeとイノベーション
ここで、カフェに絡めて気付くのは、新しい試みとしてのレジレスやウォークスルーを受け入れてくれるのは、やはり若者の層が多いということです。
Developers.IO Cafeは2月のオープン以来、4ヶ月で小さな進化を繰り返しています。最初はVISAとMastercardしか使えませんでしたが、その後にJCBが使えるようになり、Apple Payや、LINE Payなど、さらに多くの支払い手段が増えました。
テーブルにある2次元バーコードを読み込むことで、飲み物を席に届けてもらえるようにもなりました。
ウォークスルーでは棚を2倍にスケールさせ、カフェのメニュー、食事のメニューなどもどんどん増えています。
日本人が深圳の変化に気付きにくいのと同じ状況が、Developers.IO Cafeでも発生しています。
是非定点観測をしてみてはいかがでしょうか。